ビックカメラやイケア、「売らない」店舗続々 実物確認の場、通販誘導(日経新聞)
[要約]
小売り大手がネット通販を前提とする店づくりを始めている。
注文は基本的に通販サイトで行い、店舗は商品を見るショールームとしての役割を果たす。店舗で収益を生むのではなく、支援する立場になるという変化を起こしている。
大阪府の「ビックカメラドットコム」では店内のあちこちにQRコードがちりばめられっている。それを使い、値段や口コミを調べ、実物を見てネットで買い物を行うのである。
イケアでは世界の主要都市に小型店舗を30店開く予定である。倉庫を兼ねた大型の
が特徴であったが、ショールーム機能を強化した形だ。
そして、こちらも注文はネットで受け付ける。
これらの変化には、消費者の商品購入プロセスの変化から起こったことだ。
テレビや冷蔵庫などは店で実物を触って品物を決め、最低価格を検索して購入するようになった。
つまり、店舗で商品は見ても購入しなくなったのだ。
そのような消費者行動の変化は、EC市場の広がりとともに小売業の存在意義を脅かしてきた。
しかし、あえて店舗をショールームと割り切ることで客を呼び、自社の通販サイトに誘導するツールとしたのだ。
小売業の店舗の主な役割であった、
①商品に直接触れて確認できる
②店員による説明・接客
③在庫があり商品を持ち帰ることが出来る
という役割に変化が起きているのだ。
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190728&ng=DGKKZO47885800X20C19A7EA5000
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従来はライバルとしてお互いの存在を脅かすものとしての存在であった、店舗とECが共生する方法を見つけた形だ。
商品を実際に見ることが出来るという店舗型の強みと、簡単に商品比較が出来て重いものを持ち換えらずに済むというネットの強みのそれぞれを活かした新たなビジネスモデルだ。
私は先月同じような取り組みをしているニトリで新生活の買い物を行った。
そこでは商品のQRコードを読み取るとネット通販のカートに自動的に商品が送られて、後でまとめて決算が行えるようになる。
つまり、その場で購入するか決める必要もなく、重たい荷物を持ち帰る必要もなかった非常に消費者にとってありがたいシステムだと思った。
しかし、この経験を通じて小売業者側のある問題点を感じた。
それは、商品を見た店舗が経営するネット通販で本当に商品が購入されるかどうかという点だ。
今回でいえば、ニトリで見た商品を、そのままニトリのネット通販で購入するのかどうかということだ。
アマゾンや楽天などでも同じような商品を売っている。そちらで実際には商品を購入することも十分あり得るのだろうと感じた。
私も、ニトリで見た商品の一部を楽天で購入した。というのも値段や送料がそれほど変わらず、楽天の方では溜まっていたポイントも使用でき、新たなポイントも溜まるからだ。
このことを踏まえると、店舗によって自社の通販サイトに誘導するという方法は、間違っているとは言えないが、あまり有効だとは考えられない。
今まで通りショールームとしての機能のみで収益を生まないただの箱の存在のままになると思われる。
もちろん自社の製品は自社のサイトでしか販売しないとかであったら話は別であるが、、、。
総括して、今のままでは小売業は収益のほとんどを大手ECに吸い取られる形に変わりはない。違った形で自社ECにつなぎ留めておく方法が求められる。