いばらの道の「脱ノルマ」 高齢家族から苦情急増(日経新聞)
[要約]
金融機関の営業方法が転換期を迎えている。。
今年、次々と銀行・証券会社で投資信託や保険商品の新規販売額のノルマが廃止になっている。その代わり、目標とされるのが資産残高とすることが多くなってきた。
なぜ、ノルマが廃止されるようになったのか。それは顧客本位の営業でなくなってしまうからだ。基本的に銀行などは、販売による手数料で利益を出している。そこで知識の少ない顧客に多くの商品を進めることで収益源となってきた。
また、人事制度にも関わってくることから、無理な営業をする銀行員も少なくなかった。
しかし近年それが問題視されていた。それを示すのが苦情の発生比率であり、銀行の発生率が非常に多くなっていることが問題となった。特に金融商品に疎く、預金残高を多く持っている高齢者に多いことが見られた。そこで金融庁は各金融機関に是正を求めたのだ。
するとノルマ撤廃の影響からか、販売額が大きく減っており、金融商品の保有期間が急速に増加した。それほど、今まで強引な影響をしてきたのだろう。
ただそれによって金融機関の収入は減っていく。それに明確なモデルも見えていない。
もう後戻りは許されない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46920250T00C19A7SHA000/
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私は去年に証券会社のインターンシップに数社参加してきた。そこでよく言われたことが今回の記事のようなことである。
今までは回転売買により顧客が利益を出したとしてもその多くが金融機関の収益として吸われてしまっていた。このことは実際に社員の方も認めていた。
やはり、そのようなビジネスモデルはもう崩壊しているのだろう。
この転換が起こった理由について2つ話しておきたい。
1つは、国民の金融リテラシーの上昇だ。
今までは投資については情報が少なく、金融機関の人やFPなどの専門家に相談してどのように運用しているかを決めていた。そのため、情報の非対称性から金融機関に有利な条件の商品を勧めたりすることが可能であった。
しかし、最近は将来の不安感からか国民の投資に対する意識が高まってきている。また、ネットの普及によって投資のノウハウなどの情報が容易に得られるようになってきた。そして、NISA制度のように政府も後押しを行っている。それに加え、テレビでも資産運用についての特集なども組まれるようになった。
このように、元々あった情報の非対称性がかなり縮まってきているのだ。
2つ目は、ネット証券の台頭である。
従来は、金融機関の窓口に行き、そこでアドバイスを聞きながら投資決定を行うのが一般的であった。そのため、有利な商品を勧めることが出来た。
しかし、今やネット証券が急速に成長を見せている。そこには1つ目のように金融意識の高まりから容易に安価に手を出すことが出来ることが評価されたからだ。
また、それに加え今はロボアドバイザーのようなAIを用いたアドバイスを多くのネット証券で行っている。そこでは押しつけがましい営業を受けることなく、本当に自分に合った金融商品を買うことが出来るようになった。
以上のように、金融商品をアドバイスし購入をサポートし、仲介するという役目は従来の銀行や証券は必要なくなった。
それではこれからどのように、対人としての価値を生み出していくかが大事になってくる。