市販薬あるのに病院処方5000億円 湿布や鼻炎薬にも保険、医療費膨張の一因に(日経新聞)
[要約]
政府は医療費抑制のために市販薬の利用を勧めているが中々広がらない。
今後、難病治療のための高価な薬が相次ぐ見通しで、保険料をそちらに回したいとの考えだ。
ただ、市販薬があるのにもかかわらず、病院に通って処方される医薬品の総額が5000億円を超えることが分かった。内訳では、湿布薬や保湿剤といったものが多かった。
なぜ病院に行くかというと、処方薬は自己負担が3割と安く、あとは税金や保険料で賄われるからだ。
また、市販薬の承認ペースが遅いのも転換が進まない原因の1つである。
というのも、検討会の半数以上が医師で、市販薬への転換により病院へ通う人が減ることを危惧しているからだ。
そこで、一律の保険料負担ではなく、使われ方によって自己負担率を見直すべきだという声がある。
例えばフランスでは、薬の重要性に応じて、自己負担比率を0から100%までの5段階に分かれている。抗がん剤などは全額公費であり、市販薬のある薬は自己負担を重くするといったような感じだ。
深刻な病状の患者に財源を充てるために、財源の配分を見直していかなければならない。
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190712&ng=DGKKZO47086730Y9A700C1MM8000
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確かに、記事の通り市販薬に転換されない理由の1つとして自己負担が軽減されるからというのも1つあると思う。
ただ、セルフメディケーション税制が始まってからもほとんど効果が出ていないことを考えると、それだけの原因ではないのかもしれないと思う。
つまり、病院に行く、病院にいるということ自体に価値があり、求められているのではないかと思う。
病院に行って患者が何を求めているかというと、3つある
①医者というプロフェッショナルに怪我などの進行を見てもらえるという安心感
自分だけではこの体のだるさは風邪から来るものなのか、それとも低気圧が原因か、はたまた重大な病気の前兆なのか分からないのだ。
そこで、医者に診てもらうことで分からないという不安感を解消してもらうのだ。
②医者から処方された薬だという信頼感
私もたまに思う時があるが、病院から処方された薬は同じ成分であったとしても市販の薬よりも効き目が強く、早く治るような気がする。先入観であることは間違いないが、今までそう思い込んで過ごしていたため、高齢になるほどその傾向は強いように考えられる。
また、症状に合った正しい薬を処方してくれるという安心感もある。
③(高齢者にとっては)コミュニケーションの場としての働き
病院にはいつもいる高齢者の人もいる。中には重病患者でほぼ毎日通院しなければならない人もいるが、ただ集まっておしゃべりしに来ている人も一定数見られているだろう。
①②については情報技術の発達によって改善されると思っている。
通信技術を用いて遠方からでも診察が可能になれば、病院に行くことなく診てもらうことができ、正しい病名、薬を教えてもらうことが出来る。そうすれば市販薬で済む時も多くなるだろう。
先入観においても病院で処方しないという点で、ある程度改善されるのではないかと思う。
③のコミュニケーションの場としては、新たな施策を考えるしかない。
今のままでは来るべき人がきちんと来られなくなる可能性もある。
気軽に集まることが出来、安心感を得られる場所の提供が必要だ。
以上のことから、ただフランスのように自己負担比率を変更しただけでは根本的には変わらないのかもしれない。
何が本当に患者を病院に集めているのかをもっと考えるべきだ。