太陽光や風力発電、買い取りから入札へ 事業者に競争促す 弱い送電網、普及に壁(日経新聞)
[要約]
経産省は2012年に固定価格買い取り制度(FIT)を導入した。それは再生エネルギーを国が決まった価格ですべて買い取る仕組みである。
しかし、買取価格の増加により、消費者負担が高まっており、コスト削減のために、今回の見直しでFITを終了する方針である。
以降は欧州各国が導入しているような方式をとる予定である。
すると事業者は自分で電力卸市場や一般業者に売らなければならない。その価格は交渉や市場の状況によって変わってしまう。そのリスクの回避のために、入札によって決められた業者は、基準価格を下回ると補填を受けられるような制度にした。
この方式を導入することで、事業者間の競争が促され、電気料金が下がると考えられている。
しかし再生エネルギーの普及には買い取り制度以外にも送電線不足など多くの問題が存在する。
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190613&ng=DGKKZO46002880S9A610C1MM8000
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再生エネルギーについて、コストと普及率という面で課題が議論されるだろう。
2017年度には再生エネルギーの構成比率は16%である。
ただ、今回のFIT終了によって、普及率の増加に対してマイナス材料となるのではないかと懸念している。
再生エネルギーには、太陽光発電や風力発電のように、初期投資に多くのコストがかかる。それを補うための一つとして、政府が固定価格で電力を買い取る制度であった。
事業者は最初に高いコストを払っても、継続した収入が政府から保証されていたため、導入のハードルが低くなっていた。
しかし、今回、欧州の方式を採用する方針となると、どうなるか。
まず補填措置の対象になるために、基準価格をある程度利益が出るという範囲まで下げることが予想される。
また、自分自身で電力の買い手も探さなければならず、その費用や、交渉にとてもコストがかかる。また、好条件の買い手に対しては複数の業者がアプローチをかけ、価格が競争によって下げられるだろう。
以上のようなことを考えると、初期コストを回収するのに膨大な時間がかかると考えられ、リスクが高くなる。
すると新たに電力業者が再生エネルギーに初期投資を行おうとすることは中々ないのではないかと考える。
そのため、今回のFITの終了により、政府が高めようと努力している普及率は増加傾向が抑えられてしまうのではないかと思う。
送電線不足についても記事に書かれているので触れておこうと思う。
再生エネルギーには広大な土地が必要とされ、東北や九州などが好立地である。しかしそこで余った電力を首都圏、関西圏などに送る連携線がないのだ。
既に大手電力会社が分担して工事費用を負担する案を決めている。
もっとも、議論されているのかもしれないが、私たちの周りにも近くて広大な場所があるのではないか。「海」である。
海では風や日光を遮ることもなく、また、日本は世界有数の排他的経済水域を持つ国である。周りを海で囲われているからこそ、それを利用しない手はないのではないか。
他地域からの電力に頼るのも良いとは思うが、電力の地産地消もこれから考える点ではないかと思う。